塗装技能士
大野隼人さん
大森塗装店
- どうやったらこの仕事に就けるの?
- 塗装会社に入って親方のもとで修業を積み、さまざまな現場をこなしていくことで技術を身につけていきます。失敗して怒られることをくり返し、2〜3年で、一人で現場を任せてもらえるようになります。専門学校などで技術を学んでから塗装会社に就職する人もいます。
- どんな人が向いている?
- 修業期間が長く、丁寧な仕事を求められるので、コツコツと地道に作業ができる真面目な人が向いています。また、楽をしようと思うといくらでも楽ができる仕事なので、自分に対して厳しくなる必要があります。そして、お客様の要望を聞き取ることが重要なので、人とコミュニケーションが取れることも大切です。
- この仕事のやりがいは?
- 塗る前と後の変化がぱっと見でわかりやすく、個人宅の塗装の場合はお客様とも仲良くなって、感謝してもらえるやりがいがあります。
- この仕事の難しさは?
- 基本的に外仕事が多いので、天候や気温に左右されることが多く、夏は暑くて冬は寒い大変さがあります。また、花粉症などのアレルギーがある人も苦労をしています。実は私も花粉症なので、春と秋はつらいですね。
伝統工芸士
小林広幸さん
春野屋漆器工房
- どうやったらこの仕事に就けるの?
- 私は大学卒業後に跡継ぎとして実家に戻って技術を修得しましたが、木曽漆芸学院などの専門学校で勉強をする人もいます。漆塗り自体は、3年ほど基本を学ばないときちんとした製品が作れるようにはなりません。そして、作業自体は単純ですが、技術を高めるには才能と努力が必要です。
漆塗りは使う道具も伝統的なものが多いので、世襲のほうが始めやすいという敷居の高さはあります。しかし、修業して頑張ればなれないことはありません。努力をしていれば必ず何とかしてやろうと助けてくれる人もいます。また、最近は漆職人が少なくなってきていることから、漆塗りの仕事自体はたくさんあると思います。多くの漆職人が育ってほしいですね。
私の場合は、父親から最初に教わったのは漆器の修理方法でした。修理をすることで構造を学び、次第に新しいものを手がけていけるようになりました。昔の職人は技術を人に教えることを嫌がる傾向があり、私の父親も直接教えてくれずに「後ろで立って見て覚えろ」というタイプでしたが、今の職人はきっちりと説明してくれる人が多いと感じています。 - どんな人が向いている?
- 修業期間が長く、丁寧な仕事を求められるので、コツコツと地道に作業ができる真面目な人が向いています。また、楽をしようと思うといくらでも楽ができる仕事なので、自分に対して厳しくなる必要があります。そして、お客様の要望を聞き取ることが重要なので、人とコミュニケーションが取れることも大切です。
- この仕事のやりがいは?
- お客様が「いいね」と言って買ってくれる時は、こちらの感覚とお客様の満足度が一致したと感じて嬉しいですね。時にはお礼の手紙をもらうこともあり、やりがいを感じます。また、最近はものを大切に扱ったり、伝統工芸などの手仕事に惹かれる若い人たちが増えているようにも感じていて、嬉しく思っています。近年はインターネット等を通じて外国からの注文も入るようになり、新たな方向性が開けているように思います。
- この仕事の難しさは?
- 仕事としては覚悟が必要です。技術は1~2年では習得できず、普通に漆塗りができるようになるには5年、売れるものが作れるようになるまでにはさらに時間がかかります。
現在は漆職人が少なくなっていますが、私たちは1000年以上続いてきた文化をなくすわけにはいきません。そのために、次世代は漆を塗る対象を広げないといけないと思っています。例えば、私は以前にパソコンに漆を塗ったことがありますが、このようにさまざまなものに漆を塗ることを考えることが必要。各企業とコラボレートするなど、個人の力だけでは漆の世界を守っていくのが難しくなっています。
また、今は伝統工芸だけを追っていたら実用品としては使いづらいものになってしまうこともあります。全ての伝統工芸にいえることですが、時代に合わせて工夫を加えていかなくてはいけません。寺院の内装など、建築現場での漆塗りはそのひとつ。そして、決して上手に塗れるからといって多くの人に受け入れられるわけではなく、下手でも「趣がある」といわれることがあることも心得ておく必要があります。