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ネットワークやサーバのさまざまな技術革新で社会は豊かになってきました。このままさらに、いつでも、どこでも、何にでもネットワークがつながるようになる(ユビキタスネットワーク社会が進展する)と、わたしたちの生活はどう変わり、どう便利になるのでしょうか。未来のわたしたちの暮らしを想像してみましょう。
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信州大学工学部情報工学科・准教授
小林一樹先生

農耕地や森林、屋外でネットワークを活用する「フィールド情報学」や「ICT(情報通信技術)農業」、人間とコンピュータの間にどのような仕組みを加えたら使いやすくなるかという「ヒューマンインターフェース」、コンピュータに知的な活動をさせることを目的とする「人工知能」の研究をしています。

ユビキタス未来像その1『森に還る』

遺伝子組み換えで葉っぱに反りを持たせて水の流れを制御し、必要な分だけ雨水を貯めて濾過することで飲み水にします。

葉っぱのなかにソーラー発電の細胞(薄膜のソーラーパネル)を埋め込むことで、植物に釘等を刺すだけで簡単に電圧が取れて発電することができます。ハイテクなツリーハウスです。

木の成長に合わせ、枝の向きをコントロールすることで家の外形を造ります。

インターネット上でお買いものをすると、商品は木が手渡ししてくれます。

交通には「モノホイールバイク」のような一輪で一人乗りの乗り物が使われます。センシングにより転ばない設計になっており、小学校にもこのバイクで通います。

危険な動物もセンサーで予測し、近寄ってきた場合は木を動かすことで追い払います。

センサーネットワーク(センサーを組み込んだ機械)を置くことで温度や湿度などをセンシングし、自然災害を予測します。大雨が降った場合も地盤の状況をセンシングして地崩れを予測します。

森のなかでケガをした場合は、ネットワークが埋め込まれてた木に触るだけで通信できてお医者さんにつながります。いわば「どこでも診療所」です。

ユビキタスネットワークが実現すれば、人間は移動をする必要がなくなり、コストをかけて都市を開発しなくても良くなるので、森を開拓せずに植物と調和しながら住むことができます。必要な時に必要な分だけ周囲の環境から食べ物や資源を取り、その資源は可能な限りリサイクルします。SF作家・アーサー・C・クラークの有名な言葉に「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」というものがあるように、魔法のように植物が動き、自然と調和しながら生きる世界です。

ユビキタス未来像その2
『しゃべる家電&センシング包丁』

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炊飯器や電子レンジには手足や目がついていて、身振り手振りで使い方を教えてくれます。動かし方をセンシング(センサーを利用して物理量や音・光・圧力・ 温度などを計測・判別)した包丁が料理の手順を教えてくれるので、レシピを見なくても手際良く調理ができます。しかも「おふくろの味」や「プロの味」も家庭で再現できるようになります。

ユビキタス未来像その3
『ハイテク農家』

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モノホイールバイクで畦道を走り、樹木の剪定を行う場合はイスが上下に動きます。ロボットスーツを着れば重いものも楽々と持てるようになります。収穫物は一輪タイプの子機に入れ、家に帰る場合は子機が後ろからついてきます。センサーネットワークとこれまでに蓄積されたデータによって気象条件から収穫状況がわかるので、経営がしやすく、収穫物の品質も良くなります。また、お年寄りも農業がやりやすくなります。

ユビキタス未来像その4
『ウエアラブルコンピュータでコミュニケーションに変化』

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ネットワークが進むと、人とのコミュニケーションもかなり変わります。ウエアラブルコンピュータによって自分の気持ちを言葉に出さずに表現できるようになり、他人と心理的な距離感が保てます。
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