わたしたちの生活で欠かせない服をつくっているのが「アパレル職人」です。手縫いの場合もありますが、多くは工業用ミシンを使って縫製が行われています。高性能なミシンを用いる場合でも大切なのが職人の技術と目。一着の服ができるまでには、生地の調達、裁断、縫製、検品など多くの手順を踏みます。
1枚のシャツができるまで
いくつものステップを踏んで作られる1枚のシャツは、海外で生産されることも多くなっていますが、ファッションの多様化により、複雑で高品質な仕様や生地を生かすための縫製仕様、オーダーメイドの対応、短納期の製造は、やはり高度なテクニックが必要になる国内工場での生産が向いています。こうした国内の生産ラインでは、それぞれの職人は自分の担当である1つの工程しか知らない単能工(単純労働者)ではなく、3~5工程の複数の異なる作業を受け持つことができる多能工です。現場に多能工が多くいれば、忙しい工程に職人(縫製工)を集中させることができ、柔軟な生産体制が取れますし、管理された「1枚流し」と呼ばれる生産ラインにより、多品種の生産や複雑な少量生産を実現することができます。工場を見渡すと、ミシンがたくさんあるのに縫製工が少ないことから、1人1台ではなく、1人で何台ものミシンを駆使しているのがわかります。