令和2年11月13日（金）から16日までの4日間、愛知県において「第58回技能五輪全国大会」が開催されました。技能五輪は技能五輪全国大会は、国内の青年技能者（原則23歳以下）が各々が磨いてきた技能を競いあう、国内唯一の全国レベルの技能競技大会です。
本大会はこれまでの大会と異なり、2019年12月に中国で端を発したコロナウイルスによる影響を受け、これまでとは異なりコロナウイルスの感染対策を徹底した大会運営を行っていました。来訪者は事前に登録を行い、二週間の体温測定を含めた体調管理を必須とし規定をクリアしなければならない徹底ぶりでした。
メイン会場は愛知県常滑市の中部国際空港に併設される「愛知県国際展示場」において開催されました。通常の開催であれば、各県の選手団をサポート・応援団等が大型バスで駆けつけるのが常でしたが、今年の開催はコロナ禍による入場制限と徹底した感染防止の対策による厳戒態勢を思わせる会場の雰囲気です。
国際展示場のホールは職種毎に6つのホールに別れた競技会場となっており、それぞれの協議会場の入口では検温と手指のアルコール消毒を求められ、全員がそれに応じて入場していきます。自身もこれまで何度も技能五輪全国大会に取材として訪れていますが、これまでと違和感を感じながら「この状態で競技出来ているのだろうか」と心配しながら入場しました。ところが会場にはいった瞬間、そんな心配は吹き飛び、これまで訪れた技能五輪と同じ、いや今まで以上の熱気に包まれました。
「ああやっぱりここは技能五輪全国大会の会場なんだ」
真剣に課題に取り組む選手から発せられる熱気とエネルギーは、まぎれもなく技能五輪選手の若者達からいつも感じる圧倒的な生命感があふれるパワーです。自分はこのパワーを感じたくてこの技能五輪全国大会に来ているといっても過言ではありません。
若者からのエネルギーを感じたくてここに来ているのだ。これがある限り日本の未来、モノづくりの未来は明るいのだと実感できます。
これまでの努力の成果を全力で競技にぶつけている選手にとっては、コロナ禍で観客や応援団が縮小されていることなど関係ありません。どの選手の目も、これまで毎年感じてきたものとなんら変わらない真剣に課題に立ち向かってきたからこその自信と気迫に満ちています。
技能五輪の大会に参加していつも思うことですが、日本が世界に誇るのモノづくり産業の競争力や品質はこうした血のにじむような努力と研鑽によって次世代へと受け継がれていくのだという事なのだと感じます。モノづくりはスーパーコンピューターだけでは完成しません。設計図は描けても、それをカタチにする技能が必要なのです。
モノを加工し、組み立てる技があってはじめてモノが生まれるの。その技はこうした技能の研鑽があってはじめて受け継がれ、そして進化していく。日本のモノづくり、高度なサービスの進化は、こうした技能を次世代につなげていく伝承があるからこそと実感します。
これまでの自己研鑽と関係者の皆様の苦労は大きかったと思います。通常の年とは異なりコロナ禍による様々な制約があったことも想像できます。選手を支えてきた企業や仲間、そして家族にとっても大変な苦労があったと思いますが、戦った選手一人ひとりの糧となってこれからの未来に繋がっていくのではないでしょうか。
その熱い場面に参加出来たことを感謝したいと思います。
今回長野県からは13業種、32名の技能者が参加した。そして16名の選手が入賞を果たし、長野県選手団が「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞しました。
金賞 1名
銀賞 3名
銅賞 4名
敢闘賞 8名
中央職業能力開発協会会長賞 長野県選手団
今大会はコロナ禍により通常の年とは異なり様々な制約の中で開催された大会でしたが、選手のチカラを出し切った笑顔、悔しい涙はいつもと何も変わりません。未来を作っていく若者のチャレンジはどんな困難があろうとも揺らぐことはないことを実感しました。
この大会に取材してあらためて感じたこの熱量は、コロナ禍という社会的なマイナス要素を吹き飛ばしてくれました。
スポーツのオリンピックイヤーとなった2021年の東京。もう一つの五輪である「第59回技能五輪全国大会」及び「第41回全国障害者技能競技大会（全国アビリンピック）」も東京開催です。令和3年（２０２１年）12月17日(金)から20日(月)の期間で、東京ビッグサイト（東京国際展示場）をメイン会場として開催される予定です。コロナによる影響も懸念されますが、どんな困難があろうとも若者の技能へのチャレンジは決して無くなりません。自らの可能性を信じ、技能向上へのあくなき追求は、どんな困難があろうとも揺らがないものと思います。そんな姿にまた会える事を楽しみにしています。